「プログラマーのための本気で使えるChromebook」を書いた。2022年1月22日からの技術書典12で頒布予定。

どんな本なのかはリンク先に書いたのでそちらを参照してほしいけど、タイトル通り「プログラマー向けにメインの開発PCとしてのChromebookを勧める」という本。 特にDockerを使うなら純粋なLinux環境が手に入るのは大きくて、ChromebookはWindowsよりもMacよりも使いやすいと感じている。私も何年か前から開発のメインはChromebookに移していて、周りにもそういう人が増えてきた。この段階で、Chromebookをもっとプログラマーに普及させるために書いた。

おまけ: Chromebookで物理本を制作する

この本の制作はすべてChromebookで行った。電子版作成までの話は本書に書いてある。

そして電子版を入稿した後に物理版の制作も行ったけど、それもChromebookだけでやった。 本書内では物理本の作り方については触れていないので、どうやってやったか本稿で軽く触れておく。

なお物理の完成版は本稿執筆段階でまだ筆者も手にとっていないので、下記の方法で物理書籍の制作ができることを保証するものではない。

本文

まず本文。 電子版については本書中に書いたとおりVivliostyleで制作をしてPDF出力していたけど、物理版にするにはフォントをアウトライン化してグレースケールに変換したPDFを制作する必要がある。 これはpress-readyを使えば行ける。Vivliostyleの--press-readyオプションはなぜかエラーも何もなく動かなくなってしまったので、普通にpress-readyをyarn installして単独で使うことで制作した。

表紙

表紙が鬼門。 今回は日光企画のテンプレートを使ったけど、これは当然 CMYKのPSD になっていた。印刷会社とやり取りをしたときも、普通にCMYKのPSDで修正版が返ってきた。これをChromebookで取り扱う方法が厳しい。 例えばGIMPではCMYKだと開けない。

Pixlrを使えばCMYKのPSDもブラウザで編集ができるけど、PSDで保存が(たぶん)できない。PDFで保存はできるけど解像度を自動的に落とされてしまうようで、物理本の入稿に耐えうる解像度での出力ができないようだった。この辺は工夫すればなんとかなるかもしれない。Pixlr自体はChromebookでの画像編集ツールとして使いやすかったので、なんとか突破したいと考えたけど、プレミアムプランに変更しても解決しなかったので現段階では難しそう。

結局ImageMagick(convert)を使ってCMYKをRGBに変換して、GIMPで編集する方法を採った。RGBで入稿した物をCMYKに変換して印刷してもらえるかどうかは印刷会社によるらしいので、注意が必要。

なお表紙画像は電子版の時点でAdobe Creative Cloud Expressで作ったけど、これはGIMP等で編集可能なデータでエクスポートできず、PNG等の画像に書き出してからGIMPに貼り付ける必要があった。 こうなると物理本製作時に塗り足しの調整などでまったく融通が効かない。物理版を作るなら最初からGIMPで表紙は作っておいたほうがよかったと思う。

まとめ

ぶっちゃけChromebookで物理本を制作するのは現段階ではハードルが色々高いと感じた。 特に私は今回物理版の制作自体が初めてだったので、Chromebookでやろうというのは無謀だったかもしれない。 やはりAdobe Photoshopが使えないのがどうしても厳しい。物理書籍を作るならWindowsを使ったほうが早いと思った。

なおPhotoshopにはAndroid版とかWeb版があるはずだけど、それらでなんとかなるかどうかは未調査。